希望新聞

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東日本大震災 声・被災地から

 ◆岩手

 ◇避難所になっている大船渡市盛町の公民館「カメリアホール」の千葉勝也館長(64)

 「体操の指導者を呼んだり、みんなで歌ったりして、できるだけ心地よく過ごせることを第一に運営しています。『前向きに頑張っていこう』という気持ちは感じますが、やはりみなさん疲れているので、一日でも早く仮設住宅ができることを願っています」

 ◇大槌町大槌の空き店舗で営業する地場スーパー「マイヤ」の出張所長、千葉利之さん(48)

 「町内の店舗が震災で壊れて使えなくなり、3月29日からここで営業を続けています。お客さまからは食料品や生活用品の要望が多いので、釜石市の店から運んでいます。元の店舗で復興できるよう、地元の皆さんとともに頑張ります」

 ◇山田町の県立山田高ボート部3年、鳥居孝江(よしえ)さん(17)と同校2年、佐藤美奈子さん(16)

 「家は津波の被害に遭って基礎しかない状態になりましたが、家族は避難して無事でした。普段、海で部活の練習をしていたので海の近くの倉庫にボートやオールを置いていました。泥にまみれて真っ二つに折れているものもありショックでした。無事だった道具の泥を洗って、29日からの盛岡遠征に備えています。部活は1カ月ぶりなので練習できるのは楽しみです」

 ◆宮城

 ◇女川町総合運動場に娘の優愛(ゆい)ちゃん(3)を連れて支援物資を受け取りに来た阿部三紀さん(34)

 「津波は自宅の近くまで来ましたが、ギリギリで止まりました。おかげで自宅で暮らせていますが、この子はまだ怖いようで地震が来ると泣いてしまいます。早く余震がおさまってほしい」

 ◇石巻市の飲食店「たこ焼くるるん」店長の伊東健則さん(36)と母千恵子さん(63)

 「津波で店も約1メートル浸水し、冷蔵庫もひっくり返りました。冷蔵庫を友人が譲ってくれたおかげで18日に営業再開できました。ガスが復旧しないので、鉄板が使えずホットプレートでたこ焼きを作っていますが、近くの市役所に来た市民が避難所に帰る前に寄ってくれます。お客さんや友人に支えられています」

 ◇山元町山寺の町立山下中で、手作りバッグを子どもたちに配る名取市の携帯小説家、斉藤亜紀子さん(35)

 「インターネットで全国の読者に手作りバッグを送ってもらうよう呼びかけ、50個ほど集まりました。文房具やお菓子を入れて子どもたちに配っています。全国の人たちが支えています。子どもたちには優しい気持ちになってほしい」

 ◆福島

 ◇浪江町から川俣町のおじまふるさと交流館に避難した根本和枝さん(46)

 「地震が起きたときは自宅前の道路が渋滞し、車を出すことができませんでした。着の身着のまま出てきたのですが、こんなに避難生活が長くなると思いませんでした。仮設住宅を申し込んでいますが、優先順位があるので当たるかわかりません。元の生活に戻ることを望んでいます」

 ◇「早く戻りたい」−−福島市のあづま総合運動公園体育館で長男と2人で避難生活をする葛尾村の農業、八橋実さん(87)

 「足腰が弱っている88歳の妻を避難所近くの老人ホームに受け入れてもらい、面会に通っています。私は体がなまらないよう毎朝周辺を散歩し、体操をしています。早く家に戻り、田んぼや畑を耕したい」

 同体育館でボランティア活動をする福島市南矢野目の佐々木駿輔さん(19)「避難所生活を送る子どもたちは楽しいことを一生懸命見つけようとしています。子どもを抱き上げ『高い高い』をしたり、話し相手になったりしています。自然体で子どもに接すると相手も同じように接して慕ってくれます。子どもの笑顔が一番のエネルギーです」

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毎日新聞 2011年4月29日 東京朝刊

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